ハチ

最近うちの犬の様子がちょっとおかしくなって来た。オーストラリアでは珍しい柴犬を飼っていて、名前は『ハチ」。もちろんあの忠犬ハチ公にあやかって命名した。もうすぐ11歳になる。そのハチが夜更けや明け方の早い時間に突然吠えまくるようになってしまった。どうやら認知症が始まったらしい。


柴犬の平均寿命は11歳と言われている。人間で言うと61歳だそうだ。まだまだ若いと思っていたが、耳が遠くなって来たようで、真夜中にいきなり隣りの家の塀に向かって何か幻覚を見ているように吠えてしまう。近所迷惑なのでこちらも直ぐに起きてハチをなだめに行くが、暫らくするとまた吠えまくる有様だ。


これが何日も続いたので獣医に相談した所、認知症の症状だと言うことが分かった。これに対する有効な治療法は無いらしく、とにかく散歩を長くして疲れさせて後はなるべく一緒にいて犬をかまってやる時間を長くすることが大切だと助言された。あのハチもとうとうお爺さんになってしまったんだと今更ながら我に問う。


「顔に始まり顔で終わる」という日本犬の格言があるが、どちらかと言うとキツネ顔で扁平な額にとぼけた顔は柴犬の出色のお株、オーストラリアにはちょっといないタイプの持ち味を出している。オーストラリアン・ケルピーと比較すると良く分かるが、やっぱり日本人と同じ日本犬でそこは同じ祖国の血が流れている気がする。


今は自分たちが寝る頃に一緒に家の中に入れて自分の寝床に丸まっている。最近は家の中が慣れて来て気にいったようだ。この頃は後どれくらい生きるんだろうか?と思ってしまうことが多くなってしまった。でもハチにはこれからもいっぱい長生きをして自分たちをずっと癒してほしい。