元気で!

一昨日はヤンガバラに出向いて家族最後の外出のドライブになった。しばらく実家にいた息子もシドニーに帰る日があさってに迫って来た。ボーダーが閉鎖される寸前にケアンズに逃れて来て早4か月が経った。シドニーは今だ感染が収まっていない所なので、気を付けてもらいたい。そんな訳でかみさんも今は何だか元気が無い。


自分もグアムに赴任が決まって出発の当日に、看護婦をしていた母が自宅の玄関先で病院に向かう際に「元気でね、気を付けて」と短い挨拶を取り交わした後、振り向いて出ていく時に母の目には涙があふれていたのを憶えている。そんな母も今はもういない。
それ以来、両親とはずいぶんと縁が薄くなってしまった。なにせ2~3年に一度ぐらいしか日本に帰国出来なかったので。


この20年は仕事に没頭し続けて息子には何もしてやれなかった。だから息子はクリスマスもお正月もバーベキューもキャンプも家族で味わったことが一度も無い。この20年の間に3人で旅行をしたのも一度切りだった。そんな息子が小さい頃に日本人学校の授業で「うちのお父さんは毎日休まずに働いています」と書いた作文は何か少し嬉しかったのを憶えている。


クイーンズランドは鉄壁な鎖国政策で牙城を守り続け感染者は抑え込まれた。今はマスクをしている人も全くいない。たぶん今、日本人がこのケアンズを訪れたらきっとここは同じ地球上なのかと思うかも知れないほどコロナを感じさせない、感染の封じ込めに評価される岩手県のような場所である。だだこの代償は計り知れない。ここの海外からの観光はほぼ壊滅に至った。先日も市内にある老舗ホテルが長いケアンズの歴史に幕を下ろした。


人の命を守るのか? それでも経済を動かして行くのか? 世界の国がこの両立にどう向かうべきなのか、その答えを今も探し続けている。とりあえず日本はハワイとの間で観光の往来が見えて来た。是非、上手く行って欲しいしこの状況をかたずを飲んでケアンズから見守りたい。